2025年10月のWindows 10サポート終了を控え、不要となったPCの買取・引き取り件数が前年比で5割増加している。この動きは単なる買い替え促進ではなく、ユーザーの意識が「廃棄処分」から「資産価値のある再販」へと明確にシフトした証左だ。中古PC業界にとっては、在庫確保の好機であると同時に、回収チャネルの競争激化と品質管理の負荷増大という新たな局面を迎えている。

参考: Windows 10サポート終了を背景に、不要PCの買取・引き取りが前年比5割増(BCN Retail)

分析・見解

この5割増という数字は、2つの異なる市場心理の合流点を示している。第一に、法人市場ではWindows 11への移行計画が具体化し、2024年末から2025年前半にかけて旧機種の処分が本格化した。特に3~5年リース契約の満了時期と重なり、まとまった台数の放出が進んでいる。第二に、個人ユーザー層では「サポート終了後も使い続ける」選択肢が現実的でないと判断され、売却タイミングの前倒しが起きている。

注目すべきは、買取価格の二極化だ。Windows 11対応機は安定した需要で価格を維持する一方、非対応機は急速に価値を失いつつある。2024年初頭には5年落ちのCore i5機でも1万円前後の査定がついたが、現在は数千円まで下落している。これは中古市場が「動けば売れる」時代から「スペックと互換性が価値を決める」時代へ移行した象徴だ。

リファービッシュ業者にとって、この在庫急増は諸刃の剣となる。仕入れコストは下がるが、Windows 11非対応機の再生には限界がある。一部業者はLinux OSへの載せ替えや教育・業務用途への特化を模索しているが、主流にはなりにくい。結果として、Windows 11対応機の選別回収と、非対応機の部品取り・リサイクル処理への二分化が加速するだろう。

今後6か月間は、サポート終了直前の駆け込み売却でさらに供給が膨らむ。買取業者間の競争は価格だけでなく、出張回収の利便性やデータ消去保証といったサービス品質にシフトしている。この流れは、中古PC市場が成熟し、単なる価格勝負から総合的な顧客体験の提供へと進化している証拠と言える。

ビジネスへの影響

中古PC販売事業者は、今後半年間の在庫確保戦略を明確にすべき局面だ。Windows 11対応機の優先的な買取と、非対応機の早期処分判断が収益を左右する。特に法人向けには、まとまった台数の一括査定と引き取りサービスを強化することで、競合との差別化が図れる。

企業のIT部門にとっては、旧機種の売却タイミングが重要だ。サポート終了直前まで保有すると査定額が大きく下がるため、2026年前半中の計画的な入れ替えが推奨される。また、データ消去証明書の発行を条件とする買取業者を選定することで、情報漏洩リスクを低減できる。

個人ユーザーは、Windows 11非対応機を保有している場合、早期売却が賢明だ。2026年後半以降は、ほぼ無価値化するリスクがある。一方で対応機であれば、サポート終了後も一定の査定額を維持する見込みが高い。買取前には簡易的なベンチマークテストを実施し、動作不良がないことを確認しておくと査定がスムーズになる。

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