中古PCにノートン360を標準付帯、安さの先にある安心の設計
ニュースの概要
ソフマップは、対象となる中古パソコンにノートン360デラックスの1年3台版を標準で付ける新サービスを始めた。中古PCは価格の安さとリユース需要の高まりで選ぶ人が増えている。一方で、買った後にウイルスへ感染しないか、セキュリティ対策を自分で用意できるかという不安も根強い。今回の施策は、購入した直後から安全に使い始められる状態で渡すことで、その不安を和らげる狙いがある。初めて中古PCを買う個人から、業務で使う人までを想定している。全国のソフマップ店舗などで提供される。
引用元: ソフマップ、中古パソコンにノートン360を標準付帯する新サービスを開始(MANTANWEB)
分析・見解
価格競争の次に来る、安心を売る競争
中古パソコンは長く、安さだけで選ばれてきた。しかし、同じ性能なら数千円の差で勝負する時代は終わりに近い。今回のソフマップの動きは、価格以外の軸で選ばれようとする試みである。
ノートン360デラックスの市販価格は、1年3台版でおよそ数千円から1万円前後とされる。これを標準で付けると、実質的な値引きとして働く。それでいて店頭の表示価格は崩さずに済む。値下げ合戦に入らず、お得感を出せる点が巧みである。
購入後の不安が、買い控えの本当の理由
中古PCを避ける人の理由は、故障より安全面にあることが多い。前の持ち主のデータが残っていないか。初期状態は本当にきれいか。買った後に何を入れればよいか分からない。こうした迷いが、新品との差額を埋めきれない壁になっている。
セキュリティソフトの付帯は、この壁のうち「買った後に何を入れればよいか」を一気に消す。さらに、1年3台版であることも効いている。パソコン1台に加えて、スマートフォンやタブレットも守れるため、家族や小規模事業の端末をまとめて守る使い方ができる。
追い風はWindows10サポート終了後の買い替え需要
Windows 10の無償サポートが終わり、古い端末を入れ替える動きが続いている。Windows 11に対応した中古PCは、新品より手頃な移行先として選ばれやすい。ただ、買い替え層の中には、これまで会社任せでセキュリティを意識してこなかった人も多い。
初めて自分で端末を選ぶ人ほど、ソフトの有無で店を決める傾向が出てくる。付帯サービスは、そうした層の入り口を広げる役割を持つ。
見落とせないのは、1年後の更新という分かれ目
ここに、あまり語られない論点がある。付帯されるのは1年間である。つまり、2年目からは利用者が自分で更新するか、別のソフトに切り替えるかを選ぶ。
無料期間のあとに有料へ移ってもらう形は、携帯電話の端末割引やサブスクリプションと同じ構造である。店側にとっては、購入時の割引よりも、更新時の継続率が本当の収益源になりうる。反対に利用者側は、更新を忘れると無防備な状態に戻る。ここが実は最大のリスクである。
PC標準のセキュリティ機能でも一定の守りはできる。だからこそ、付帯ソフトの価値は、購入初日の安心と、更新を促す仕組みの出来で測られることになる。
ビジネスへの影響
中古PCを仕入れる企業は、総コストで比べる
社内用や店舗用に中古PCを導入する企業にとって、今回の発想は参考になる。端末の価格だけでなく、セキュリティソフトの購入と設定にかかる手間も含めて総額で比べたい。10台入れ替えるなら、ソフトの購入、ライセンス管理、導入作業の工数だけで、思いのほか時間を取られる。最初から付いている端末は、この工数を減らせる。
ただし、個人向けソフトは台数や用途に制限がある。法人で使う場合は、管理画面で一括して状況を見られる製品が必要になることも多い。付帯ソフトで足りるのか、別途の法人向け製品が要るのかは、導入前に確認しておきたい。
契約期間の終わりを、台帳に書き込んでおく
1年付帯のソフトは、期限が切れても警告が目立たない場合がある。端末台帳に更新期限を記録し、期限の1か月前に確認する運用を決めておくと安全である。担当者が替わっても漏れない仕組みにしておくことが肝心である。
小規模な事業者なら、更新するか、他の対策に切り替えるかを最初に決めておくとよい。
販売側は、安心をセットにして差を出す
リユースPCを扱う販売事業者にとっては、保証、初期設定、セキュリティを一つの安心パッケージとして見せる手がある。単品の値引きより、利用者が買った後に困らないことを具体的に示せるからである。同じ価格帯の競合と並んだとき、選ばれる理由になる。