ニュースの概要

調査会社Counterpoint Researchによると、2026年第3四半期の世界PC出荷台数は前年同期比で21%減り、約5,700万台にとどまった。AIサーバー向けのメモリ需要が急拡大し、パソコン用の部品価格まで押し上げたことが背景にある。新品の値上がりを受けて、消費者は買い替えを先送りしている。メーカー別ではHPが31%、Dellが25%、Lenovoが23%の減少となり、AppleとASUSも出荷を減らした。第4四半期は減少幅が27%に広がるとの見通しも示されている。需要の冷え込みが、中古市場の価格にも波及し始めた点が今回の特徴である。

引用元: 世界のPC出荷台数が第3四半期に21%減少、メモリ価格上昇が中古市場にも影響(The Verge)

分析・見解

需要不足ではなく、部品の奪い合いが起きている

今回の出荷減は、人々がパソコンを欲しがらなくなったから起きたのではない。メモリがAIサーバーに優先的に回り、PC向けの供給が細ったことが主因である。

メモリ工場の生産能力は急には増やせない。しかもAI向けの高性能メモリは利益率が高く、メーカーはそちらを優先する。結果として、一般向けのメモリは相対的に割高になる。

2021年の半導体不足でも似た現象があった。あのときは車やゲーム機が影響を受けた。今回は、パソコンが「AIに部品を取られる側」に回ったと見るのが分かりやすい。

大手ほど落ち込みが大きい理由

HPの31%減は、減少幅がとりわけ大きい。法人向けの比率が高いメーカーほど、価格改定の影響を受けやすいからだ。

法人の調達は、1台あたりの単価よりも総額で決まる。数百台を一括で買うとき、1台2万円の値上がりは数百万円の差になる。そこで企業は、更新を半年や1年遅らせる判断をしやすい。

一方、Appleは自社設計の部品構成で価格を抑えやすいが、それでも出荷は減った。価格転嫁を避けられない状況が、業界全体に広がっていることが読み取れる。

中古市場が新品の代わりを担い始める

新品が高くなると、需要は中古や再生品へ流れる。ここで見落とせないのが、中古の価格も上がるという点だ。

新品の代替として買われるため、状態の良い中古は品薄になりやすい。特に、Windows 11に対応した比較的新しい世代の機種が先に動く。Windows 10のサポート終了後に買い替えを迫られた層と、価格高騰で新品を見送った層が、同じ在庫を奪い合う形になる。

ここに独自の視点がある。出荷台数の減少は、市場の縮小ではなく、需要が中古側へ移る合図でもある。新品の統計だけを見ていると、実際のパソコン利用の広がりを見誤る。

第4四半期の27%減が意味するもの

第4四半期は減少幅が27%に拡大する見通しだ。これは、価格上昇がまだ天井に達していないことを示す。

短期的には、メモリの増産が進むまで高止まりが続くだろう。増産投資が実を結ぶには、一般に1年以上かかる。その間、メーカーは搭載メモリを減らした低価格機や、メモリ増設が可能な設計を打ち出す可能性がある。

長期では、AI向けとPC向けの供給が落ち着けば価格は戻る。ただし、その時期を正確に読むことは難しい。待つ判断自体がリスクになる。

ビジネスへの影響

買い替え計画は台数より総額で見直す

企業の情報システム担当は、まず保有台数を年式別に洗い出したい。サポート切れが近い機種と、まだ数年使える機種を分けるだけで、今期に本当に必要な台数が見えてくる。

全台を新品で入れ替える必要はない。メモリを増設できる機種は増設で延命し、更新が急務の部署だけを新品にする方法が現実的だ。

価格は今後も動く。見積もりの有効期限を確認し、同じ仕様でも複数の販売店から相見積もりを取ることを勧める。

再生PCを使うなら保証と対応機種を確認する

再生PC(=整備し直して再販売される中古機)は、コストを抑える有力な手段になる。ただし、品質には販売店ごとに差がある。

確認すべき点は三つある。Windows 11に正式対応しているか。バッテリーやストレージの状態が検査されているか。保証期間が最低でも半年から1年あるか。この三つを満たさない安価な機種は、結果的に高くつく。

データの消去証明を出してくれる業者を選ぶことも重要である。社内の古いPCを手放す側に回る場合も同じ基準が当てはまる。

古いPCの売却も、今は有利に働く

中古の需要が高まれば、手放す側にも利点がある。更新で不要になるPCを早めに売却すれば、買い替え費用の一部を回収できる。

価格が高い今のうちに、状態の良い機種を査定に出す価値はある。環境面でも、廃棄を減らして再利用に回す選択は評価されやすい。

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